プロ野球セ・リーグで、2位DeNAが首位ヤクルトを追い上げている。7月4日に17.5離れていたゲーム差が8月21日には4へ。その理由は何か。AERA2022年8月29日号の記事を紹介する。
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ヤクルトが7月に大量の新型コロナ感染者が出て調子を落とした一方で、DeNAは本拠・横浜スタジアムで球団記録を更新する17連勝(8月21日時点)を飾るなど8月に入って14勝2敗(同)と勢いに乗っている。
強さの基盤は投手陣の安定感に尽きるだろう。セットアッパーの伊勢大夢(ひろむ)(24)、エスコバー(30)から守護神・山崎(崎はたつさき)康晃(29)につなぐ「勝利の方程式」を確立。先発陣も今永昇太(28)、大貫晋一(28)の左右の両エースらが奮闘している。8月の13試合(18日時点)で4点以上奪われたのは3試合のみだ。
■少ないチャンス生かす
打線も首位打者獲得の実績がある佐野恵太(27)、宮崎(崎はたつさき)敏郎(33)、本塁打王を2年連続獲得したソト(33)、2年目で4番に座る牧秀悟(24)、勝負強い打撃が光る嶺井博希(31)と役者がそろう。リードオフマンの桑原将志(まさゆき)(29)が調子を上げ、代打に控えるオースティン(30)がスタメンに名を連ねるようだとさらに破壊力を増す。
昨年は最下位に低迷するなど、1998年以来23年間リーグ優勝から遠ざかっている。だが、戦力で大きく劣るわけではない。試合の主導権を握りながら投手陣が要所で痛打を浴びたり、打線は相手を上回る安打を放ちながら拙攻で得点が奪えなかったりしたケースが目立った。
DeNAを取材してきたスポーツ紙記者は、こう語る。
「個々の能力は高いが、白星に結びつかない。(現在は大リーグ・ブルージェイズ傘下のマイナーチームに所属する)筒香嘉智(30)が在籍していた時に優勝候補として下馬評が高かった時期があったが、頂点に立てなかった。でも、三浦大輔監督(48)就任2年目で試合巧者のチームに変わりつつある。押し込まれる展開をしのいで少ないチャンスを生かし、白星をつかむことで自信をつけている」