会場での撮影風景(撮影・鈴木裕也)
会場での撮影風景(撮影・鈴木裕也)

 「記念すべき100回目のコミケだけど、コロナの入場制限や台風でもっとすいていると思った。でもすごい熱気。これぞコミケだと思う。これから待ち合わせた東京在住の友人と会う予定。こうやって同好の士が集まれるのがコミケの最大の魅力です」

 ブースを出して出店していた都内私立大学の同人サークルOBの女性も「想像していたよりも熱気があってうれしい」と喜びつつ、コミケの魅力を「お客さんや友人、おたく仲間と会えること」と言う。

「今は昔と違ってネット即売会が発達しているので、同人誌を売るだけなら、ここに来なくても事足りる。でもやっぱりこれだけの熱気を感じられるのはここだけ。私自身が参加するのは4年ぶりなので昨夜はうれしくて眠れなかった(笑)」

 人混みを縫ってエリアを移動し、コスプレ撮影会場に行ってみた。アニメのキャラクターなどに扮したコスプレイヤーの前に、カメラマンたちが1列に並んでいる。以前はコスプイヤーを取り囲むように撮影していたが、密を避けるため順番に1対1で撮影する新ルールだという。

「新ルールのおかげで人気のレイヤーさんと話しながら、希望のポーズをお願いできるし、会話までできる。待ち時間は長いけど、メリットのほうが大きい」とプロ顔負けの機材を抱えて列に並んでいた40代の男性は言った。

 見学していて気付いたのは、レイヤーさんたちのほとんどが紙に自分のSNSのアカウント名を記入して表札のように掲げていることだ。ちょっと露出多めの扮装をした20代女性はコスプレ歴5年という。

「コロナが始まった当初は、イベントがなくなってつまらなかったけど、すぐに動画配信やSNSを通じてファンの人と交流するようになった。今日、写真を撮りに来てくれているカメラマンの人のほとんどはSNSでは知ってる人よ。“初めて会えたね”なんて言われて、やっぱりコミケでコスプレするのが楽しいとつくづく思いました」

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宅八郎さんといっしょに取材した90年代