「あの整骨院は15年くらい前に開業し、院長は40代前半。地元の老人でめちゃくちゃはやっとるけど、今は鍼(はり)の先生と吉川先生とアルバイトのオバハンとで回しとる。以前は若い子もいたんやけど、拘束時間が長いから辛抱できなくて辞めてくんやね。そこで吉川先生は10年以上も働いとる。群馬出身で『実家の父親の具合が悪いから年末は休む』と言ってはったけど、こんなキレイで頭のよさそうな子が、こんな田舎でなんで働いとるんやろ、とはみんな不思議に思っとったなぁ」(別の客)

 近所に住む商店主の40代男性はこうも振り返る。

「確かにあの子は整骨院のマドンナで、ファンはごっつ多かったで。自分でマッサージを学ぶくらいなんやから努力の人やろし、標準語の女の子は珍しいから、地元のジジババは『相手を紹介しようか』って絡む。院長も独身やったから、お年寄りたちに『ふたりで付き合うたらええやん』って突っ込まれることも多かったな。院長は『タイプちゃうって』と返し、吉川先生は『私は男はコリゴリなの!』と頭を振っとった」

 異性をかたくなに拒む明美容疑者の姿勢は服装にも表れていた。私服のときはめったにスカートをはかず、ユニクロで売っているようなベージュのチノパンにTシャツ姿。髪は茶色に染め、ずっと三つ編みにして、銀縁の細長メガネをよくかけていたという。

 そして、近所ではこんな噂(うわさ)も広まっていた。

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