グラウンドワークス:代表取締役の神村靖宏さん。エヴァンゲリオンをはじめ、その他の作品のライセンス管理を担当する(撮影/写真映像部・高野楓菜)
グラウンドワークス:代表取締役の神村靖宏さん。エヴァンゲリオンをはじめ、その他の作品のライセンス管理を担当する(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 自由度は高いが、すべての製品化に通底するのは「エヴァ流」とも呼べる作品への理解と愛だ。加えて神村さんのアイテムへのこだわりは「実際に使いたくなるもの」であること。単なるキャラクターグッズではなく、渋谷や原宿に普通に出かけられるファッションや、金物の街・燕三条のメーカーとコラボしたはさみなど、実用面で質の高い商品を作る。神村さんの愛用品は、青森県でのエヴァ展開催時に企画された津軽の伝統工芸「こぎん刺し」の名刺入れだ。紫と緑の配色がおしゃれ!

「製品のクオリティーを高くしているのは、やはりエヴァという作品の力だと思います。お話を持ってきてくださる方もエヴァ好きな方が多いので、やりたいことや思いが伝わりやすい。すでにあるものや、他作品の成功事例を真似るのではつまらないですから。これからも『こんなものができるんだ!』という驚きや新しい楽しみ方を探っていきたいですね」

 新たな試みも始まっている。イラスト投稿サイト「ピクシブ」と連携し、ファンが描いて投稿したイラストの一部にライセンスを与え、一般販売を許諾するというものだ。展覧会場にはピクシブで活動する“絵師”のイラストを用いたTシャツやグッズも紹介されている。

「かつてはファンが描くイラストはコミケの同人誌で広がりましたが、いまはSNSで即座に世界中に広がります。版権を管理する立場としては難しい部分もありますが、でもファン活動の楽しみを止めたくはないんです」

 時代に対応し、進化を続けるエヴァプロダクト。さらなる展開が楽しみだ。(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2022年8月15-22日合併号

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