コロナ禍で迎える3年目の夏は第7波が猛威を振るう。お盆に帰省するべきか、やめるべきか。それぞれの事情に応じた悩みはつきない。AERA 2022年8月15-22日合併号の記事から紹介する。

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「これで帰省できる」
関東圏に住む男性(51)は、実家のある大阪への帰省を決めた。
両親はすでに他界しているが、実家はそのままだ。先祖代々の墓も実家の近く。ゆくゆくは大阪に戻るつもりで、コロナ禍になるまでは、頻繁に東京、大阪を行き来していた。
男性は糖尿病を抱えており、感染を極力避けるため、この3年は帰省していなかった。
実家の風通しや墓参りは、実家から車で30分ほどの距離に住んでいる妹夫婦が代わりにやってくれているものの、長男としての責任がある。ゴールデンウィーク明けの感染者増はそれほどではなかったので、「今年のお盆こそは」と思っていた。ところが、第7波到来。帰省は諦めていたのだが……。
考えが180度変わったのは、自身が感染者になったからだ。7月20日に発熱。21日に受診した発熱外来で陽性判定が出た。ひとり暮らしで在宅勤務のため、だれかにうつす心配はそう大きくない。幸いなことに症状は軽症。インターネットでコロナについていろいろと調べていると、「発症後少なくとも3~6カ月間はウイルス感染で誘導された抗体が維持される」「抗体価は、発症20日目をピークとして徐々に低下する」とする研究発表がヒットした。「帰省するなら今しかない、と思った」と男性。人が少ない時間帯を狙って新幹線でさっと帰り、妹夫婦にだけ挨拶をし、実家の掃除と墓参りをしたら、またさっと帰京する予定だ。
■PCR検査が怖い
「PCR検査場に行くのが怖い。帰省前に受けるべきかどうか」と悩むのは、東京23区内に住む女性(30代)。
知人から「熱が出て、発熱外来に電話したけど、受け入れてもらえるところが見つからなかった。翌日には熱が下がったので、念のため、無料検査場に行った。今結果待ち中」というメールが先日届いた。無料検査場は発熱など風邪の症状がある人や濃厚接触者は対象外。「症状がある人は医療機関を受診」と明記されている。「検査場に行くのはよくない」と返すと、「ワクチンを3回受けているし、人と会食もしていない。通勤は週1回だけで、あとは在宅勤務。普段から、ちょっと体調を崩すとすぐに熱が出る。だから、この発熱は100%コロナじゃない」と逆ギレ気味のメールが戻ってきた。