「近年では、自治体と民間が協力して地域色を打ち出したり、エンターテインメント性を追求したりするなど、魅力的な道の駅が生まれています。中でも『道の駅川場田園プラザ』、通称“田プラ”は、他の追随を許さないほど圧倒的です」(大池さん)
田プラがある川場村は、群馬県北部に位置する人口3178人の小さな村だ。地元産の素材を使った飲食店や、とれたての農産物を販売するファーマーズマーケットなどが軒を連ねるこの施設に、県内はもちろん県外からも多くの人が詰めかけているという。その数、年間190万人。約7割がリピーター客だ。
同施設を運営する「田園プラザ川場」社長の永井彰一さんには、2007年の就任以来、大切にしている理念がある。
「来場者を飽きさせず、求められている以上のものを提供することです。それを体現しているのが、リピート率9割以上といわれる東京ディズニーランド。彼らの一流のおもてなしを体感させようと、以前うちの従業員全員を視察に行かせました」
■売り上げは年約20億円
徹底したマーケティングで客のニーズを的確に捉え、商品やメニューを日々バージョンアップ。何回来ても新発見のある道の駅として大きく成長した。年間売り上げは約20億円にも上る。
「田プラは来場者を楽しませるだけでなく、農家にとっては物を売る場所であり、地域の雇用も担っています。来場者と地域の人々から必要とされる場所であり続けたい」(永井さん)
神話「因幡の白兎(うさぎ)」で有名な鳥取市白兎にある「道の駅 神話の里 白うさぎ」。眼前に広がる日本海の絶景もさることながら、驚くのは居酒屋をメインに据えたことだ。
「うちのグループの一番の目玉は活イカの姿造り。今の時期は松葉ガニもおすすめです。地酒が楽しめることもそうですが、生簀(いけす)のあるレストランというのは道の駅ではなかなか珍しいので、結構驚かれますね」
こう話すのは、同所を運営するぎんりんグループ執行役員の東田慶さんだ。
賀露港や赤碕港などから仕入れた新鮮な地魚を目当てに、県外からも客が訪れる。
「ほとんどの方が車でいらっしゃるので、飲酒運転防止として、ご注文を受ける際にドライバーさんを確認し、アルコールを提供しないよう徹底しています」