ツバメやスズメなどの野鳥に限らず、私たちのまわりにはさまざまな動物がいる。では、可愛いからと野良ネコに餌をあげてもいいのだろうか。
「エサをあげるという行為自体は何の法律にも触れません。だから餌をあげて半ノラ状態や地域ネコとして可愛がることは問題ありません」と平松さん。
ただ、餌をあげることで、そのネコたちが原因で起こる問題もある。
「悪臭が発生したり、糞害や騒音などの問題が起きたりすると、民法が規定する不法行為責任に発展し得ますし、動物愛護管理法の観点から行政から、指導や勧告を受けることがあります」と平松さんは続ける。
これにより直ちに罰金などの罰則があるわけではないが、餌やりなどについて行政が必要な勧告をしたが、その命令に従わなかった場合、50万円以下の罰金に処さられるという規定がある。この件に関しては裁判も起きているという。
「野良ネコが増えすぎて、自分の家に入って糞をするようになったなどの糞害のような実害があったという民事裁判があちこちで起きています。これは餌やりをしている側が敗訴するケースが多いようです」(平松さん)
つまりはネコ対人というより、人と人の問題なのだ。平松さんの事務所にも野良ネコを排除したい人や、保護したい人からの相談も多いという。
「私は動物が好きなのですが、法律はやや動物に冷たいなという気もします。法律はあるけど、人間のモラルの話になるのでしょうね」と平松さんは話す。
動物は法的に大きく野生動物と愛護動物の二つに分類し、それぞれ対応法や行政も窓口が違う。たとえば、神奈川県の場合、野生動物は自然環境保全センター、愛護動物は動物愛護センターで対応するとのこと。ツバメ、スズメ、カラスは野生動物で、イヌやネコなどの小動物は愛護動物だ。
「ネコは動物愛護管理法に基づく愛護動物です。飼い主がいないネコであっても、餌をあげるなど保護している人がわかれば、その人へ対して保健所から周辺の方々への配慮をして、餌を与えるなどをするようお伝えしています」
とは神奈川県動物愛護センターの愛護指導課長の廣井恵津子さんである。最近みかける地域ネコの場合も、好き嫌いがあるので、周辺の人の理解を求めるのが重要だと話した。