「新年早々から、激しいね」
こう苦笑するのは、自民党の閣僚経験者だ。
岸田政権になって、主流派から転落した菅義偉前首相が自身のグループ「ガネーシャの会」を派閥にしようという動きが顕著になってきた。
一方、岸田文雄首相の岸田派も対抗するように、同じ宏池会の流れをくむ谷垣グループを「派閥にしよう」との声があがり、水面下で主導権争いが激しくなっている。
昨年12月、都内の料亭で安倍晋三元首相と麻生太郎副総裁と茂木敏允幹事長が会合を持った。
一方、同じ日、別の場所で集まったのは菅氏と石破茂元幹事長、森山裕前国対委員長(森山派)、武田良太元総務相(二階派)、林幹雄元幹事長代理(二階派)の5人だ。
首相退任後はまったく脚光を浴びなくなった菅氏と、昨年の衆院選で議席を減らし、派閥からグループになった石破氏、派閥の存続すら危うい森山氏、二階派の有力者である武田氏と林氏と「負け組」の面々だ。菅グループの衆院議員は言う。
「岸田政権になって、こちらのグループはまったくの冷や飯だ。昨年の総裁選で菅氏は再選を確信していたが、自分の派閥がないという弱点を突かれ、まさかの退任に追い込まれたことを今も悔しがっている。長く安倍政権を支えてきたのに、ひどい惨状だ。おまけに安倍氏自身が安倍派の会長になり、パワーアップ。これまでのグループではなく、しっかり派閥化して岸田政権に対抗すべきとの声が多々あります。派閥となれば、人事や選挙でも口出しできます。グループのままなら他の派閥の草刈り場になりかねない危機感が菅氏にはあり、年末にはソリがあわない石破氏も一緒に会食した」
菅氏のグループの数は現在、20人弱とみられる。一部には他のグループと掛け持ちする議員もおり、派閥となれば参加する人数は減る可能性もあるという。それでも二階派、石破グループ、森山派と非主流派連合を組めば、80人近くなる。石破グループの議員はこう算盤をはじく。