主流派と非主流派を巡る激しい争いは、新人議員の派閥入りでも垣間見ることができる。
昨年10月の衆院選で初当選した新人議員は当初、岸田派入りかとみられた。岸田派元会長で自民党元幹事長、古賀誠氏が選挙を支援していたからだ。
「しかし、新人議員には自民党として菅氏が後見人的な役割でついていた。菅氏が宏池会入りは認めないと言い出し、動きがとれなくなった。今も両者の綱引きが続いていますよ」(前出・自民党閣僚経験者)
宏池会のスタッフから自民党職員となり、政務調査会の調査役を長く務めた政治評論家の田村重信さんはこう語る。
「菅氏は再選濃厚だった昨年の総裁選で、選挙にすら出られなくなり、派閥の重要性を痛感しているようだ。このまま、冷や飯では若手議員が離れてしまうので派閥化を急いでいるのだろう。岸田政権の支持率は今、高いが、菅政権時代のワクチン接種や携帯電話料金値下げなどがいつしか岸田首相の手柄みたいになっている影響もあり、忸怩たる思いがあるようだ。簡単に言えば『何が新しい資本主義だ』ということ。それは菅氏を担いできた二階氏らも同様だ。岸田首相も総裁選での勝利で政治は数を実感している。今年は参院選もあるので、より派閥の主導権争いは激しくなりそうです」
(AERAdot.編集部 今西憲之)