「普通のサラリーマンが買える値段ではないですよ。賃貸マンションだって、東京はワンルームで7万円も8万円もするわけですよね。地方だったら、一戸建てを借りられますよ」
地価のバブル崩壊も近づいているという。
「日本一路線価が高いのは、東京・銀座5丁目で書画用品や文房具を扱う『鳩居堂』前の銀座中央通り。もう、すでにバブル時のピークの値段を上回っているんですよ」
東京国税局の昨年7月の発表によると、鳩居堂前の銀座中央通りの2021年の路線価は一平方メートル当たり4272万円で、36年連続、日本一だった。しかし、価格は前年を7%下回った。
「銀座はもうすでに下げの予兆が始まっているんです。今までの常識が通用しなくなることが多分、起こってくるだろうと思います」
東京が住みにくい街だと気づき、不動産も暴落となれば、首都圏脱出の流れが一気に加速するかもしれない。
「実は30年前に首都機能を移転するということを、国会で決めていて法律(国会等の移転に関する法律)もできているんです。だけど、ずるずる先延ばしを繰り返してきたんです。その矛盾がいっきに噴き出したのが、この2年間だったと思います。バブルの時もそうだったんですが、おかしなことが起きている時、みんな、それをおかしいとは思わないんですよ」
話は変わるが、価格が下がったといえば、縁起物の一番マグロの値段だ。東京名物となっている豊洲市場で行なわれているマグロの初競りについて、AERAdot.では1月6日に「マグロ初競り落札のやま幸社長が語るすしざんまいに勝った理由 一皿1040円の中トロ食べてみた」という記事を配信した。
毎年高額で落札される「一番マグロ」。だが、ここのところ落札価格が右肩下がり。2019年には過去最高の3億3360万円、20年には1億9320万円、21年には2084万円、そして今年1月5日は1688万円だった。
「一番マグロ」の経済学を、森永教授はこう語った。
「ちゃんと経済合理性が成り立っていると思いますよ。すしざんまいを経営する喜代村が3億円以上で買っていた頃は、それを一人一皿という形で提供すれば、大行列ができたんですよ。結局、単品で出したら大赤字なんだけども、それだけを食べて帰る人というのはあんまりいない。ほかの寿司も食べるから」