「一番マグロ」は宣伝にもなる。

「メディアが殺到して知名度が一気に上がっていくので、広告宣伝費と他の商品の売り上げ増の効果を含めたら、そんなに悪い投資ではなかったんです。ただ、今、同じことをやっても、客が大行列というほどには集まらないんですよ。密を警戒して」

 これもコロナ禍を境にして、それまでのセオリーが通用しなくなった例かもしれない。ただ、損失を出すような失敗かというとそうともいえない。一番マグロの1688万円という落札額について、次のように森永氏は分析する。

「結局、1600万円台くらいのところでしか、採算が合わないということなんだと思いますよ。今の環境だとね。落ち着くところに落ち着いた。これでコロナが完全に収束したらまた上がっていくとは思いますけど、現状では適正価格だろうなと私は思います」

 結局、物事は経済合理性のあるところに落ち着く。波乱が予想される2022年だが、年末には落ち着くことを願いたい。(AERAdot.編集部 上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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