初会合では高市氏の横で安倍氏がマイクを握り、「失業率2・8%、先進国の中でもっとも雇用を守っているといえるだろう。積極的な財政出動を行ってきたその成果」と訴えた。西田氏も自身のSNSでこう発信している。
「財政再建推進本部が廃止になり、財政政策検討本部が政調会長直轄となった。税金の範囲で予算を組む、財政健全派は時代遅れだ」
ところが、この直後に岸田首相が「財政健全化推進本部」を発足させたことで、党内に財政政策を論議する組織が2つも立ち上がり、岸田首相と高市政調会長がにらみ合う構図となった。
「この騒動は国家の根幹にかかわる本質的な政策の路線対立です。岸田首相vs高市政調会長、安倍元首相の主導権争いで、極めて政局的でもあります。2つの財政本部の最高顧問の一方は麻生さん、もう一方が安倍さんというキングメーカーがバックについている。もともとはMMT(現代貨幣理論)論者の西田さんが高市さんに働きかけ、岸田首相やその周辺の財政再建論に機先を制する形で『検討本部』を立ち上げました。その動きを警戒した茂木幹事長が岸田首相に進言し、首相直轄の『健全化本部』で対抗した。つばぜり合いが激化し、岸田派、麻生派、茂木派と安倍派とのパワーバランスが崩れた場合、大きな火種になる可能性があります」(官邸関係者)
自民党幹部もこう分析する。
「岸田首相は高市氏が突っ走るのを抑えたい。しかし、党の政策決定は政調会長の了承がないと進まないのも事実。岸田首相も政調会長を3年ほどやっていますからその重要性は認識している。そこで幹事長である茂木氏が高市氏を抑えやすくするために首相直轄にしたのでしょう。こうした絵は財務省が裏で描いているようだ」
岸田首相の本当の狙いは参院選にあるという。
「岸田首相とも年末年始に何度か話す機会があったが、頭の中は、参院選でいっぱいですよ。特に東京都の小池百合子知事の動きを気にしている。昨年の衆院選では小池氏の動き次第で過半数が厳しかったことも自覚していました。参院選で小池氏が候補を立ててくるのが一番怖いところです」(前述の幹部)