関東一高だけではない。新型コロナウイルスの影響により、高校生のスポーツ大会では出場辞退するチームが続出している。全国大会では昨夏の甲子園で宮崎商業高、東北学院高が選手らからコロナ感染者が出たとして出場を辞退。

 昨年1月の男子バレーボール全日本高校選手権では、東山高が選手にコロナ感染者が出た影響で3回戦を欠場し、不戦敗となった。20年12月のバスケットボール全国高校選手権では、開幕前に感染者が出た影響で4チームが欠場。コロナ感染疑いがある発熱者が出たとして光泉カトリック高も1回戦で棄権し、不戦敗となった。

 東海地方の高校で運動部コーチを務める教諭は複雑な表情を浮かべる。

「個人的には一部の選手にコロナの陽性反応が出た時に、PCR検査で陰性が証明された選手だけで戦いたいという思いがありますが、陽性が出た選手を特定される恐れがある。対戦する相手校に感染させるリスクもゼロとは言えない。コロナはまだまだ解明されていないことが多い未知のウイルスですから。でも怖いのはコロナより風評被害です。出場辞退しないことで脅迫めいた電話やメールが学校側に掛かってきて、SNS上で誹謗中傷のコメントが殺到するかもしれない。子供たちをそんな辛い目に遭わせるわけにはいきません。出場辞退する学校の考えも十分に理解できます」

 感染力の強いオミクロン株が世界中で流行し、日本国内でも感染者が拡大している。コロナが完全に収束するのは少なくともあと数年はかかるだろう。感染防止を徹底する一方で、中・高校生のスポーツ大会で「出場辞退」のニュースが流れると複雑な思いになる。果たしてこのままで良いのだろうか。(西川秀之)

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