日本郵政の増田寛也社長も同月24日の会見で、衣川氏の対応について「よろしいかと思う」「不透明だという端緒がない」などと述べて追認した。「法律に反する具体的な端緒」が示されない限り、局長会側が自ら要望した経費支出で利益を得ていたとしても問題視はしない姿勢も示した。顧客情報の政治流用疑惑については調査を続けるものの、カレンダーの流用疑惑については「幕引き」としたい意図が鮮明だ。

 増田氏が1カ月前の会見から態度を一転させたことに、日本郵便本社内でも「結局、増田さんも局長会の問題には及び腰なのか」(若手社員)と失望する声が上がる。会社経費を元手に利得を得ようと図る行為が今後、日本郵政グループにおいて容認される可能性もある。

 日本郵政は郵便局舎の数の維持に固執する一方、郵便料金を段階的に値上げし、土曜日の郵便配達は取りやめ、過疎地の窓口営業時間を縮めるという「サービス低下」を推し進めてきた。利用者にはコスト負担増を求めながら、郵便物数の減少で経営の先行きが厳しいなか、野放図な経費支出が許されるのだとしたら、ただ驚くしかない。

(朝日新聞経済部 藤田知也)