山田美保子・放送作家、コラムニスト
山田美保子・放送作家、コラムニスト
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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は「パンダ情報」を取り上げる。

【写真】双子のパンダの名前決定を祝う電光掲示板

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「健康状態は良好で、体重も順調に増えています」「シンシンが1頭の世話をしている間、もう1頭は保育室内で、人工乳による哺育をしています」

 昨年6月23日、上野動物園のジャイアントパンダ、シンシンが双子を出産してからというもの、私はずっとパンダ通だ。

 というのも、上野動物園が2頭の最新情報を発信するのは、だいたい火曜日の午後。よって同夕から、翌水曜朝のニュースや生ワイドでは“お約束”でVTRが流れるのだ。

 私が水曜日に出演している『ドデスカ!』(メ~テレ)でも9月8日のオンエアから毎週、取り上げてきた。

 2頭の体重と我が家の愛犬の体重を比較しながら、抱っこしたときの感覚を想像したのも今は昔。最新の発表では、シャオシャオが14.4キロ、レイレイは13.2キロ。もう私では、簡単に抱っこできないかもしれない。

双子のパンダの名前決定を祝う電光掲示板
双子のパンダの名前決定を祝う電光掲示板

 そんな2頭のニュースで、もっとも印象に残るのは、昨年10月1日、生後100日を迎えた2頭にラジオを聴かせている……というものだった。

 小学生時代から深夜放送のハガキ職人をしていて、新卒で就いたのがTBSラジオのキャスタードライバー(リポーター)だった私は、いまも”ラジオ”というワードに敏感に反応してしまう。

 果たして、2頭がラジオを聴いていた理由を知って、なるほどと思った。その姿が一般公開されたとき、大勢の人の声に2頭が驚かないよう、保育室やシンシンと過ごす室内でラジオを流して慣れさせているというのだ。

 音楽がたっぷりとかかるFMラジオではなく、パーソナリティやゲストが長時間、話すAMラジオを聴いているのではないかしらと思ったら、余計に親近感が湧いた。

 ちなみに一般公開を翌週に控えた1月5日(水)の『ドデスカ!』で扱ったのは、園内スタッフを観客に見立てた観覧練習が行われているというニュースだった。

 同番組エンディング前、MCの望木聡子アナが読むニュースのコーナータイトルは昨年末まで「ニュース750」だったが、新年から「ほっとニュース」へと変わった。

 HOT=最新と“ホッとできる”がかかっているが、変更には、「水曜恒例、上野の双子パンダの最新ニュース」も、きっと関わっているに違いない。

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

週刊朝日  2022年1月21日号