AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。

Anders Hansen/1974年、スウェーデン生まれ。精神科医。著書に『一流の頭脳』、日本でも発行部数60万部を超えた『スマホ脳』がある(撮影/Stefan Tell)
Anders Hansen/1974年、スウェーデン生まれ。精神科医。著書に『一流の頭脳』、日本でも発行部数60万部を超えた『スマホ脳』がある(撮影/Stefan Tell)
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『最強脳 「スマホ脳」ハンセン先生の特別授業』は、世界的ベストセラー「スマホ脳」の著者・アンデシュ・ハンセンさんの新刊。「記憶力」を良くするには? 仕事にスマホチェックに、とマルチタスクが当たり前になったいま、「集中力」を上げるには? など、人類の歴史のなかでの脳の役割をひもときながら、現代人の生活に合わせた解決法を提案。スウェーデンでは、希望した学校に無料で配布されており、本書はすでに10万人以上の子どもたちに読まれている。著者のハンセンさんに、同著にかける思いを聞いた。

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 アンデシュ・ハンセンさん(47)が医大に通っていた時のこと。解剖の授業の一環で、亡くなったある男性の脳を取り出し、そっと両手にのせた。その時に芽生えた感情が忘れられない。

「自分では見ることができないけれど、感情も記憶もすべてがこの脳に詰まっている。『人間に備わる究極のものだ』と感じました」

 脳はまさに“自分自身”であり、脳について学ぶことは、自分を知ることに繋(つな)がる。そんな思いはいまも変わらない。精神科医として働きながら、スマホが脳に与える影響を多角的に綴(つづ)った著書『スマホ脳』は世界的ベストセラーとなった。最新刊『最強脳』は、「子どもの脳を強くするにはどうすればいいか?」についてまとめた本だ。

 この問いに対するハンセンさんの答えは至ってシンプルだ。それは、脳を鍛えるには脳以外の場所を鍛える必要があり、運動こそが脳を強くする、というもの。ハンセンさんの言う「運動」とは、ジムでトレーニングを積むことでも、スポーツ選手のごとくハードな練習を重ねることでもない。ダンスや散歩でも十分。

 本書では、4分間だけ運動をした子どもがその後1時間、集中力が高まった、という研究結果も紹介されている。

 運動には一時的に発想力を高める効果もあるという。

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