写真はイメージです(GettyImages)

 今回の提訴の件に関して、疑問に思うことがたくさんあります。1人お子さんがいらっしゃるご夫婦ですが、精子提供を決断するに至った経緯がよくわからない。京大卒の精子が欲しかったことに関しては、個人的な感情は違いますが、それも、そのご夫婦が考えたことなので、何も言いません。他人がとやかく言うことではないと思う。

 しかし、もう1つの疑問が、お子さんが生まれたあとに、京大卒でもなく、中国籍だったことで、3億円の提訴をするわけですが、3億の提訴をするということは裁判費用に何百万円かかかるわけですよね。そこまでして提訴するのは、どうしてなのか?

 さらに、最大の疑問は、お子さんを児童養護施設に預けてしまっていることですよね。育てられない事情はわからないですが、今回の場合、精子の提供ではなく直接の性行為までして授かったお子さんを「学歴と国籍が異なり、約束と違う。施設に預けます」というのが、ものすごく疑問符なんですよ。「これで果たして、いいんですか!?」という気持ちがある。

 色々、この件に関して、自分勝手に考えてみたんですけど、提訴を起こしたお母さんは「育てられないけどお金だけは渡す」と、児童養護施設に預けられているお子さんのための3億円なのかな? と思ってみたり。3億円渡しても、児童養護施設に預けるのはいいとは思っていないですよ。でも、僕の根本的な考えには、「他人のご家庭のお子さんのことに関しては何にも言えねぇ」というのはあるから口出しはしない。

 こんなに疑問があるのに、人権的側面もあるからか、メディアもなかなか取り上げないし、深掘りしない。こうした問題って、もっとよく話さないといけないんじゃないの!? 人権の問題もあるからって、「人それぞれなんじゃないの?」で片づけていいものか。

 まず、一番に言えるのは、生まれたお子さんは何にも悪くない。親から生まれてきた命で、その命は歩き出してしまう。「約束と違うから」って、育てられなくなり預けてしまうのはいかがなものか?

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