(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

──具体的にどの単元でつまずく子どもが多いのでしょうか。

柳沢:分数がポイントだと思います。分数っていうのは割り算の表現ですよね。例えば100分の1は、1÷100のこと。で、分数を分数で割る場合、割るほうの分母と分子をひっくり返して掛け算をしますけど、大人でもその理由をすらすら説明できる人はほとんどいない。あれは「分数の分母と分子に同じ数を掛けても、同じ数で割っても、答えは変わらない」という原則さえ教えればわかるんです。

佐藤:約分や通分もまったく同じ理屈です。

柳沢:はい。あとは小6でやる方程式の移項。プラスとマイナスを反対にするでしょ? あれも「等号の左と右に同じ数を足しても、同じ数を引いても、あるいは全体に同じ数を掛けても、同じ数で割っても、等号は変わらない」という原則さえ理解できていれば迷わない。例えばX-3=8だとして、等号の左と右に3を足すと、X-3+3=8+3。すると左の-3と+3が消えて、結果として移項したことになる。私は小学校の算数はこの2点さえきちんと押さえておけば大丈夫だと思います。

■ルートでつまずく理由

──では中高の数学でつまずきやすい単元はどこでしょうか?

柳沢:二つあって一つは√(ルート)ですね。√A+Bは、√が全体にかかっているんですけど、それを√A+√Bにしてしまう子が多い。もう一つは解の公式。あれを自分で展開できるようになると大体の計算はできます。

佐藤:おっしゃるとおり、公式は自分で導き出せないとダメですね。うちの子たちには「公式は暗記するな」と言っていました。単に暗記しただけだと、プラスとマイナスを一つ間違えて覚えたら一巻の終わりですからね。数学が苦手な子に限って「公式を忘れちゃう」って言うけど、自分で導き出せればどこでどう使うのかわかるはずなんです。でも、学校ではそこを丁寧に教えてくれない場合が多い。

柳沢:逆に、中学でやる90度までの三角関数は余計ですよね。高校で一緒に教えたほうがはるかに理解しやすい。

佐藤:つまみ食いみたいなことは本当にやめてほしいですね。つまずきのもとですよ。

柳沢:中高一貫校だと6年間かけて数学を教えるから、そういうおかしなことにはなりづらい。そこはメリットだと思います。

(構成/編集部・藤井直樹)

AERA 2022年1月24日号より抜粋

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