創立からまもなく100年を迎える桜蔭中学校高等学校(写真:同校提供)
創立からまもなく100年を迎える桜蔭中学校高等学校(写真:同校提供)
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 男子はズボン、女子はスカートという制服の“常識”が変わりつつある。「性別に関係なく制服を選びたい」という生徒の声に応え、女子生徒の制服にスラックスを採用する学校が出てきているのだ。そんななか、創立からまもなく100年を迎える伝統ある女子校、桜蔭中学校高等学校(東京都文京区)が昨年、スラックスの採用を決めた。全国有数の進学校として知られ、由緒ある制服を誇りにしてきた同校でスラックス採用に踏み切った背景について、同校の校長、教頭に話を聞いた。

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 近年、女子生徒がスカートかスラックスを選べる制度を導入する学校の動きが加速している。その理由は、防寒対策や痴漢被害の防止、自転車通学者への配慮などさまざまだが、最大の目的は、「制服のデザインが身体的な性別に基づいたものなので着るのが苦痛」という、学校生活のなかで息苦しさを感じているトランスジェンダーの生徒たちの声に応えたものだ。

 だが東京都内を例にとると、私立女子中学校・高校約150校のうち、スラックスを採用する学校はまだ十数校と、少数派だ。

 桜蔭中学校、高校の制服は、これまで夏服・冬服ともにスカートのみだった。そこに新たにスラックスを選択できるようにしたのは昨年秋だ。

「スラックスを採用して制服の選択肢を増やせたことは、私たち教員もよかったと思っていますけれど、それ以上に生徒の反応が大きくて驚きました」

 齊藤由紀子校長はこう話す。

 昨年9月、学校はスラックス制服の申し込み受け付けを開始。齊藤校長は当初、「申し込むのは1クラスに1、2人かなとか思っていた」というが、ふたを開けてみると、全校生徒の約1割、140人あまりが申し込んだという。なかなか生産が間に合わず、スラックスが生徒の手元に届いたのは、昨年11月をすぎてからだった。

 さらに想定外だったのは、学校外からの反響だ。

「進学塾の先生は、『まさか』と思ったのでしょう。『スラックスを採用すると聞きましたが、本当ですか?』と、お問い合わせをいただいたりしました。また、卒業生がとても喜んでくれました。彼女たちの感覚からすると『すごく進んだことをやった』と受け止めてくれて。『母校が時代とともに変化したことについて、たいへん誇りを感じています』と、年賀状をいただいたりしました。でも、私たちからすると、そんなに大きなことだったかな、という感じなんですけれど」

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制服の原型は大正モダン