サントリーマーメイドIII号を操船する堀江謙一さん(兵庫県西宮市)
サントリーマーメイドIII号を操船する堀江謙一さん(兵庫県西宮市)
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 1962年、日本人として初めて小型ヨットでの単独無寄港太平洋横断に成功した、海洋冒険家の堀江謙一さん(兵庫県芦屋市)。あれから60年、83歳になった堀江さんは今年3月、再び単独での無寄港太平洋横断に挑戦する。成功すれば世界最高齢での達成となる。その底知れぬ気力はどこから湧き上がってくるのか。健康面での不安はないのか――。たずねると、ちゃめっ気たっぷりの若々しい声が返ってきた。

【写真】60年前、太平洋単独横断を成功させ、市民の歓声にこたえる堀江さん

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「ふだんは仲間とともに瀬戸内海を航海することが多いんですが、島や暗礁がたくさんあって、操船には気をつかう。でも、太平洋は広いので、そこをすーっと行くのは比較的簡単だと思いますよ。ただ、距離が『ちょっと』ありますけれど(笑)。まあ、そんなに特別なことをしているつもりはないですよ」

 堀江さんは飄々(ひょうひょう)と語る。

 初めて単独無寄港太平洋横断に挑戦したときは23歳だった。全長6メートルに満たない小さなヨットではるばる太平洋を越えて来た日本人青年を、米・サンフランシスコ市民は熱烈に歓迎した。その航海の記録をまとめた著書『太平洋ひとりぼっち』はベストセラーになった。

 それ以降、堀江さんは世界一周や足漕ぎボートでの航海など、さまざまな実績を残してきたが、やはり、最初の太平洋横断がいちばん緊張したという。

「いま思えば、ちょっと考えすぎだったところもありますし、逆に思慮が足らなかったところもある。でも、だんだん慣れてくると、そのバランスをうまくとれるようになってきました」

 さまざまな経験を経たいま、堀江さんはこう話す。

「何があっても、『こんなものか』と思えるようになってきましたね。今回の航海中、これまでの体験を超えるようなことが起こるかもしれませんが、だいたいのことは読めると思います」

堀江謙一さん
堀江謙一さん

■体力と筋力はふつうでいい

 それにしても、「83歳で太平洋ひとりぼっち」である。気力や体力面での不安はないのか。

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特別なことは何もない