『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より
『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より

 正確なデータはありませんが、ストレスの多さや生きづらさから、子どもの「心の病気」が増えていることも一因と言われています。

 文部科学省が生徒指導施策推進の参考にするために毎年、小中高校生を対象に行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の2019年の調査結果でも、「自殺の要因」を「精神障害」としているケースは、中学校では8・8%。高校は9・5%でした。中学校も高校も自殺の1割近くに精神疾患がかかわっているかもしれないという事実は、重く受け止める必要があるでしょう。

『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より抜粋

水野雅文(みずのまさふみ)

東京都立松沢病院院長 1961年東京都生まれ。精神科医、博士(医学)。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。イタリア政府国費留学生としてイタリア国立パドヴァ大学留学、同大学心理学科客員教授、慶應義塾大学医学部精神神経科専任講師、助教授を経て、2006年から21年3月まで、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授。21年4月から現職。著書に『心の病、初めが肝心』(朝日新聞出版)、『ササッとわかる「統合失調症」(講談社)ほか。

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