映画「名付けようのない踊り」は、28日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開 (c)2021「名付けようのない踊り」製作委員会
映画「名付けようのない踊り」は、28日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開 (c)2021「名付けようのない踊り」製作委員会

「僕は、自分の子供時代のことを『私のこども』と呼んでいます。身体の内側に記憶されている子供時代の出来事を、現代の身体にまで連なって生きている記憶として規定しようと考えたのです。そういったことをまとめていた文章を監督は読んで、いろいろ勉強してくれた。このアニメーションが実現した最大の理由は、コロナ禍で山村さんに時間ができたことだと聞いてます。集中する時間がふっと湧いてきた、と(笑)」

 泯さんがしゃべっていることや夢見ていることに近いことを取り上げ、書いたものからもたくさん引用されているが、「これは間違いなく犬童さんの作品だ」と断言する。

「犬童さんの視点を通して、僕自身の人生そのものに近い表現をしているから、より多くの人に伝わっていくのだろうと思います。映画を観て、今後も僕は、人が名付けることのできないような物事と一緒に生きていくことを、再確認しました」

 映画の中には、泯さんの“心が躍る瞬間”が映し出されていた。現在泯さんは76歳で、撮影が始まってから4年の歳月が流れているが、肩書が意味をなさないように、泯さんにとっては年齢も、単なる記号にしか過ぎないのだろう。

「僕からすれば、世の中にある“老人の常識”が、保守的な感じがしてしょうがない。老人に、『老人とは~』『人生とは~』なんて言われて、『うん、そうだね』なんて答えている暇は僕にはありません(笑)。老人になると、病気と付き合うのが当たり前で、病気こそが共通の話題なんていうけど、それも違うと思う。だって、身体あってこその私。身体の中に私がいて、ここから抜け出せるのは、死ぬときだけです。最近は農村部でも、ある程度の年齢になったら老人たちを仕事から引退させるけど、本来身体は働くのが好きなんだから、死ぬまで働けばいいんです。農村部の人たちなんて、休んだ途端に病気になってますから。老人のほとんどは、仕事を継続しないばっかりに衰えてしまう。身体の中に命があるわけで、僕たちは、身体とともに生きることを実行していかないとダメだと思いますね」

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