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ヨーロッパを中心に、男女を問わず第1子に王位を継承するよう法改正が進んでいる。その結果、王位継承権第1位の女性が増えた。1世代後、世界には多くの女王が誕生する。
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1979年のスウェーデンにおける法改正が、始まりだった。それまで男子のみに与えられていた王位継承権を、性別に関係なく国王の第1子に与えるとしたのだ。
この動きはヨーロッパの君主制国家に広まっていく。83年にオランダ、90年にノルウェー、91年にベルギー……。現在、ヨーロッパで君主制を採用する10カ国のうち7カ国で、性別を問わず第1子が継承することに。男子優先だが女子も王位継承の資格を持つとする国が、スペインとモナコ。男子のみに継承権を与えているのは、リヒテンシュタインだけである。
アジアに目を転じると、タイは74年に憲法を改正し、男子優先ながら女子にも継承資格を与えた。しかし女性が王位に就けるのは、現在に至ってもタイのみである。
王位継承権に関する法改正の経緯について、在日ノルウェー大使館広報部に聞いてみた。
「男女平等の社会的背景を受け、時代の流れに沿って王位継承についても近代化が求められたことが主な理由です。改正に際して強い反対意見は特段ありませんでした。今も当然のことと支持され、議論の余地はないと考えています」
同国のアレクサンドラ王女は昨年11月に軍のパラシュート訓練に参加し、ベルギーのエリザベート皇太子は士官学校で訓練を積んだ。将来の女王としての帝王学を、体を張って学んでいるわけだ。(本誌・文/菊地武顕)
※週刊朝日 2022年2月4日号