──結成の目的は五輪ではなかったということですね。
高橋:誘ってもらったときに、(彼女に)五輪とかじゃなく、ただ一緒にやってみたいと言われました。五輪に絶対行きたいと言われていたら、無理と断っていたかもしれない。だから一番の目標ではなかったんです。
村元:アイスダンスというすてきなスポーツを知ってほしい、大ちゃんとならすごいものが作れるんじゃないかなというのがありました。
■四大陸で心が燃えた
──今季勝ってきた小松原美里、尊組に全日本で負けた悔しさはあると思うのですが。
高橋:いや、自分たちの滑りができなかったことがすべてです。
村元:美里ちゃんとティム(尊)も全力で五輪のためにやってきた。勝負の世界です。その結果があったからこそ、この四大陸で心が燃えて「かなだい」はまだまだこんなものじゃないぞ、ということにつながった。スポーツはミスしたらアウト。何十年もかけてやってきたことが、3分の勝負になるので。
──失敗の原因は精神的なものでしょうか?
村元:自信はついてきているんですけど、試合になるとちょっと弱気になるというか……。
高橋:カップル競技はお互いのテンションが一緒じゃないとうまくいかない。そこが合わなくてもできるのが経験値、長年積んできたものかなと思います。
──マリーナ・ズエワ・コーチは、アイスダンスは毎回同じように滑らないといけない、と言っていましたね。
高橋:同じようにしているつもりなのに、タイミングが早くなったり遅くなったりするんです。
村元:私もそれはあります。
高橋:お互いありますね。一緒にアップをするんですけど、カウントを任せるとすごく速いことがある。同じ10秒でも、もう10秒?(笑)ということも。そこを阿吽(あうん)の呼吸で感じあえるようになれば、演技がもっと良くなると思います。
──現在位置には満足ですか?
高橋:2年前の僕からすると満足以上です。
村元:コロナが始まったり、けがで練習もできなかったりといろんな状況があった中、それを踏まえてすごいことを成し遂げているなと改めて感じています。
(構成/ライター・田村明子)
※インタビューの続きは発売中のAERA 2月7日号に掲載