■瞳に映るリスペクト
「現実を見るにつけ『この問題は永遠に解決しないのでは?』と絶望的な気持ちになります。ガザへの攻撃や流される血。人々の苦しみを前に何もできないことに無力感でいっぱいになる。だからこそ本作には希望も描きたかった。トンネルの先にある光のような一筋の希望です」
若者たちの瞳に映る互いへのリスペクトこそが未来への光だ。
「本作を作りながら、つくづく感じました。やっぱり人は人と闘いたくはないんです。政治がきっかけさえ与えてくれれば、この地域にも和平への道があると信じています」
実際、撮影後も若者たちのつながりは続いているそうだ。
「最終日にはみんなでハグし合い、お互いのメールアドレスやSNSアカウントを交換しあっていました。いまも交流を続けているメンバーもいます。この映画を作ったことによって、双方の相互理解に少しでも貢献できたのではと思っています」
(フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2022年2月7日号