
久本:そう、ニッキさん。ニッキさんはすごいですよ。松竹作品だけでも10作ぐらい演出やってますし、私も前にニッキさんの演出で緒方洪庵の物語(「蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~」)に出させていただきました。
林:そうなんですか。
久本:おもしろいですよ、ニッキの世界は。長くエンタメの世界にいらっしゃったから、見せ方がエンタメ的で、演劇界でけっこう活躍されてます。
林:へぇ~、知りませんでした。「ワハハ本舗」の笑いの「間」と、今度のストレートプレイの笑いの「間」、やっぱり違うんですか。
久本:ぜんぜん違います。「ワハハ本舗」はお芝居じゃなくてエンターテインメントショーで、歌ったり踊ったりするパフォーマンスですから、笑いのためなら何でもやって、そのあとに芝居がついてくる。でも、今度のお芝居は、芝居の中でどれだけ笑かすかなんで、出発点が違うんです。だから難しい。キャラもつくらなければいけないし、演じながら笑かすという技量もなきゃいけないので、緊張感がありますね。
林:なるほど、そうですか。久本さんは、右に出る者がいないMCの名人で、あれだけテレビのレギュラーを持ちながら、新橋演舞場のあと、名古屋、久留米、札幌、大阪松竹座と1カ月の公演が続くわけでしょう。その前に稽古もあるし、テレビとの両立、大丈夫なんですか。
久本:ぜ~んぜん大丈夫です。いまテレビのお仕事も、若手の皆さん、ガッと勢いがあるしね。私はそもそも舞台ありきで、レギュラーがあっても、舞台をやらせていただきながらため撮りしてもらったり、生放送はちょっと休ませていただいたりしていますんで。
林:マチネーもあるんですよね。
久本:そうですね。(公演スケジュールを見て)あっ、しかもほとんど毎日2回公演だ! 気がつかなかったなあ(笑)。こりゃ体力勝負だから、のどをケアして、睡眠もきっちりとって、お酒もほどほどに、という形でいかなきゃいけないですね。
林:セリフを覚えるのはどうですか。すぐ入ります?
久本:それはまだいけてます。私はまあまあ早いほうですね。
林:一回で覚えちゃうんですか。
久本:いや、一回は無理。だけど、何日もかかってということはないです。昔に比べたらちょっと落ちてきたんですけど、「ヤバイ! ぜんぜん入らない」ということはないですね。