1986年体育科を開設した。生徒の競技力育成をはかることなどが目的となっており、多くのアスリートを送り出した。また、2010年バンクーバー大会では加藤条治さんがスピードスケート500メートルで銅メダルを獲得した。

 2018年平昌大会に加藤さんは出場している。このとき同校校長だった孫田淳さんがこうエールを送っていた。

「出場5選手の指導者に、『激励金(教職員・生徒一同より)』を託しました。その袋に、『条治を超えろ』としたためました。現地までは声援が届かないでしょうが、山形中央高生の熱い思いも背に、平昌の地で最高の滑りをしてくれることを期待しています」(「AERA dot.」2018年2月11日)

 北京で、山形中央高校出身の選手は加藤さんを超えることができるか。期待が高まる。

 オリンピックのメダリストが誕生した学校である。山形中央高校にはスケートリンクなどの施設が整っていると思いきや、そうではなかった。現校長の柴崎さんはこう続けた。

「学校に特設リンクはありません。夏の練習はウェイトトレーニング、バイクなどが中心になります。シーズン中はリンクのあるところに遠征して練習しています。特別恵まれた練習環境ではありませんので、なおさらすごいことだなあと思います」

 2022年、山形中央高校体育科はスポーツ科(仮称)に変わる。地域のスポーツ指導者を育成することを念頭に入れたコースである。

■開志国際から平野兄弟、冨田姉妹

 開志国際高校(新潟)から4人の卒業生がスノーボード・ハーフパイプの選手として出場する。平野歩夢さん、海祝さんの兄弟と冨田るきさん、冨田せなさんの姉妹だ。彼らは同校のアスリートコースに通っていた。このコースについて学校はこう説明している。

「日本から世界へ飛躍するアスリートの育成、この大きなチャレンジのために、アスリートコースでは優れた指導者によるコーチングだけでなく、人格育成や基礎学力育成にも力を注いでいます。勉強とトレーニングに集中できる環境で3年間過ごし、学生はより高い目標に向かって羽ばたいてきます」(同校ウェブサイト)

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自治体の力の入れ方がよくわかる