「ここの氷で練習した選手がうまくなっていくのがうれしい。五輪では1次リーグ初戦であたる(世界ランク1位の)スウェーデン戦が鍵になる。普段通りのゲームができれば遜色のない戦いができる実力はあります」
世界トップクラスの正確なショットは、ぶれない投球フォームから生み出される。選手たちは約20キロのストーンを押し出す際、片足に体重を乗せ、もう片方の足を後方に伸ばして背筋を伸ばす。この姿勢を支えるカーリングパンツは、ミズノがロコ・ソラーレと開発した。
入社以来、スキー・ジャンプの選手対応を長く担当してきたミズノの小田正紀さん(52)は、15年からカーリングも担当している。選手たちの要望を聞きながら、動きやすく、長時間のゲームでも体が冷えないカーリングパンツを作った。
選手はそれぞれ細かい点までこだわりがあり、試行錯誤を繰り返した。藤澤はひざ下がストレート気味、吉田知はフレアタイプなど、選手の好みのシルエットにカスタマイズも加えている。平昌五輪でメダルを獲得後、本橋からは「メイドインオダのカーリングパンツでメダル取りました」と感謝のメッセージが届いたという。北京五輪モデルはさらに細かな改良を加えた。
「アスリートは調子が悪くなると、誰もが神経質になる。ノンストレスでパフォーマンスに集中できるウェアを作りました。普段通りの心構えで大一番に挑んでもらいたい」(小田さん)
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年2月7日号より抜粋