不眠は外来診察のときによく相談を受けます。ご希望によっては、睡眠薬を処方することもありますが、眠らなければいけないという気持ちが、かえってよくないのかもしれないですね。眠れないときは「貝原益軒は寝るなと言っている」「夜がダメなら昼に仮眠をとればいい」などと考えれば気が楽になります。
ちなみに、私は午後9時半ぐらいに寝て、3時半に起床します。昼寝もよくします。診療の合間に、外来の机の上に足をのせて、パッと寝るのです。ミニ・ナップというやつですね。
長年、寝つきがよくて睡眠の悩みはなかったのですが、最近、少し変わってきました。夜中に目が覚めて、1~2時間眠れないことがあるのです。
そこで試してみたのが、アミノ酸のグリシンです。グリシンは前出の本でも紹介されているのですが、サプリメントとして飲んでみると、私には意外によく効きました。夜中に目が覚めた後の寝つきが良くなったのです。
さて、いろいろ工夫してダメなら、睡眠薬を飲むのも決して悪くありません。薬をうまく使うのは、いい解決法です。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2022年2月11日号