「私もちっちゃい頃から頑張ってきた。諦めなければ、夢は叶うと伝えたい」と声を震わせ、インタビュー直後に「寒い中、ありがとうございました」と報道陣に感謝の想いを伝えたことが話題になった。
海外に駐在する日本人記者は「日本では選手がメダルを逃して謝罪する光景が多すぎる」と指摘する。
「原因としてはメディアがメダル獲得を煽りすぎている部分もあると思います。もちろん、選手たちは金メダル獲得を狙って血のにじむような努力を積み重ねていますが、五輪でメダルを逃すと、お通夜のような雰囲気でアスリートを謝罪に追い込むような環境を作っているように感じる。冬季五輪は特にそうですが、欧米ではW杯の成績が高く評価されるので、五輪でメダルを獲れなかったかといって選手が責任を過度に背負い込むことはない。試合に負けた後のインタビューで選手たちは敗因を分析しますが、謝罪する光景は皆無に近いです」
昨年行われた東京五輪で、「ニューヨーク・タイムズ」電子版が「金メダルにおよばなかった日本人選手たちは、銀メダルを獲得しても執拗に謝罪する」というタイトルの記事を8月5日に報じて話題になった。
五輪でメダルを獲得することは立派なことだ。だが、メダルを逃したとしても「残念な結果に終わったが」と報じるのは自戒の念を込めて慎むべきかもしれない。(安西憲春)