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 朝ドラの「稔さん」役で多くの人に強烈な印象を残したSixTONESの松村北斗さん。2021年は俳優としてもアイドルとしても躍進の年となった。取材では「ますます演技はわからない」と語った。AERA 2022年2月7日号から。

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――演技の面でも認知度でも、NHK連続テレビ小説が転機になった、と語る若手俳優は少なくない。2021年後期から始まった「カムカムエヴリバディ」で、「稔さん」こと雉真稔(きじまみのる)を演じた松村北斗も、変化を感じた。

松村:1話15分という長さで1日の楽しみや一つの作品を作る。そこには、一瞬一瞬に集中力と熱量が込められていることを実感しました。朝ドラには日常の中で何でもない瞬間はないというか、余白のシーンが全然なかったように思います。「カムカム」は3世代の話ですので、走馬灯みたいな作品と言いますか、走馬灯で思い出すほど選りすぐりのシーンを作っていかなくてはという思いはありました。

――凝縮した時間だったからこそ、「シーンとシーンとの間に何があったのか」を深く考えた。

松村:考えなくてはいけないんだろうなと思いました。お芝居がものすごくうまいわけでもないからこそ、何ができるだろうか、何をしたら今までよりも成長した自分を一つでも残せるだろうか、見る人たちに説得力のあるものを作れるだろうか、とか。かなり試行錯誤しました。

――主人公の安子が恋した昭和の好青年役は、視聴者から圧倒的に支持された。だが、悩んだことも多かった。

松村:今回に限らずではあるのですが、撮影現場でテストを経て、監督さんから「もうちょっとこういうところを表現してほしい」と言われても、どうしても自分の中にその要素が「ない」ということがよくありました。「とりあえずやってみます」と言って演技しても、結局違うものでOKだったシーンもあります。

■演技の課題見つかった

松村:例えば、安子ちゃんが電車の中で1人で泣いているシーンがありました。そこへ僕が来て、なぜ泣いているのか、何があったのかを尋ねるのですが、その時、自分の中ではすごく沸き立つ思いがあり、その勢いや強さで、正面から彼女に向かい合っていることを表現しました。でも、「兄のような優しい気持ちで」というのが、監督さんから見えた世界だったそうです。僕は稔にそこまでの余裕があるとは思えませんでした。今だったらわかるんです。監督が何を言っているのか、どういうものなのか。

 でも、当時の自分は、そして今演じることになっても多分、最初に思うのは、安子への恋というか愛に走った勢いというか、力みたいなものだと思います。放送されたシーンは、「すごく良かったです」と監督さんに言っていただいた上でOKを出していただきましたが、自分がこうと思ったものを表現することがまだまだ全然つたない中で、それでなくてこっちを、という指示にどこまで応えていけるのだろうか、という葛藤はあります。

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