12月の全日本選手権では4回転アクセルの他、サルコウとトーループ2本の4回転4本の構成で挑んで322.36点を出していた。4回転アクセルはダウングレードの判定で基礎点は8.00点になっていてそこから3.89点減点されていたが、4回転アクセルを成功させれば基礎点は12.50点。GOEが0点でも合計は330.80点になる計算になる。さらに演技構成点も上積みされるはずでそれ以上になるはずだ。
チェンは今シーズンの出足は悪かったが、いつものようにGPファイナルから調子を上げていこうと考えていただろう。そのファイナルが中止になったが、1月の全米選手権ではSPは完ぺきな演技で115.39点を獲得し、フリーは4回転フリップの転倒に加えてコレオシークエンスで転倒と珍しいミスはあったが、他のジャンプは高いGOE加点をもらって合計328.01点を獲得していた。だが彼も五輪に対しては、平昌ではSP17位と出遅れてフリーで1位になりながらも5位までしか上げられなかった悔しさもある。それだけに今回にかける気持ちも強く、完ぺきに仕上げてくるだろう。
以前は羽生の方がSPの完成度は高かったが、近年はチェンも完成度を上げて110点台は確実に取るようになってきているだけに、どちらかが大量リードという展開はないだろう。だからこそ羽生にとっては、4回転アクセルの完成が重要になる。公式練習でも4回転アクセルを決めてチェンにプレッシャーをかけられれば、競り勝つことも可能になってくる。
このふたりが頭一つ抜け出して優勝争いを繰り広げるだろうが、銅メダル争いも熾烈になりそうだ。その候補となるのが、自己最高が299.01点のヴィンセント・ジョウ(アメリカ)と、291.77点の鍵山優真、290.15点の宇野昌磨の3人だ。※ヴィンセント・ジョウは6日に行われた新型コロナウイルスの検査で陽性判定。追加の検査で陰性ならば8日から始まるSPに出場する予定となっている。
フリーで5本の4回転を入れるジョウは今季はスケートアメリカで295.56点を出して優勝しているが、NHK杯では260.69点で2位。さらに全米選手権ではSP112.78点で発進しながらも、フリーではミス連発で290.16点で3位とまだ不安定さもある。