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 監督就任以来、一挙手一投足が注目されている日本ハム・新庄剛志監督。春季キャンプに入っても選手より監督が注目される「新庄フィーバー」が続いているが、目指す野球は明確だ。

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「新庄監督は現役時代に球界を代表する外野手として活躍していましたが、守備に対して強いこだわりが見える。対外試合初采配を振るった8日の阪神戦(宜野座)では三塁が本職の野村佑希を左翼、外野手の万波中正を三塁、同じく外野手の五十幡亮汰を遊撃で起用しましたが、守備位置をシャッフルした狙いは明確です。外野手は内野手、内野手は外野手の難しさを改めて学ぶ機会になる。カットプレーでどこに投げたら内野手は捕りやすいかなど実際に経験しないと分からないですから。また、臨時コーチで十種競技元日本チャンピオンの武井壮氏、現役時代に阪神で盗塁王を5度獲得した野球評論家の赤星憲広氏を招聘するなど走塁を重視するメッセージを選手に送っている。玄人好みの手堅い野球を目指しているように感じます」(他球団のスコアラー)

 新庄監督は昨年11月に秋季キャンプを視察した際、遠投の練習で自ら自動車の上に乗り、バットで目安となる高さを設定したのが話題になった。

「あの高さ以上、ボールを投げたって意味がない。試合で使わないでしょ」と説明。試合で必要なのは遠投で120メートル以上を投げる能力ではなく、70~80メートルの距離を正確に低い弾道で送球できることだ。好奇の目にさらされる練習も全て実戦に即して理にかなっているのだ。 

 コーチとの「距離感」も独特だ。春季キャンプを生中継する「GAORA」の放送席に5日、突然現れると、目の前で行われたバント練習に苦言を呈した。「コーチ陣がダメ。俺が言ったことを伝えきれてないのがイヤなのよ。俺、このバント要らないって言ってるの。構えが固くなる」と指摘した上で、「ピッチャーが投げ始めた時にセーフティとバントの間くらいのリラックスさを持ちなさいって言っているんだけど、ほら、今構えてるやろ。これチャンスの場面で固くなるのよ、ファウルになってしまう。遊びなさいって言ってるんだけど。しかも、さっきも選手がトンボかけてたから。何回言いましたか?って話、コーチに。選手は休憩させてほしいのよ、早く」と語気を強めた。

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1年契約で退路を断った新庄監督