◆肌着は綿製品 湿度は40%以上
また、入浴後は、すぐに保湿剤を塗ると効果的だ。
「ただし肌に傷がある場合は、成分に尿素が含まれているとかゆくなる場合があります。無香料で低刺激性のものが安心でしょう」
入浴以外にも、衣食住を見直すことで、乾燥によるかゆみを改善することができる。
「肌に触れる衣服は、素材が重要です。化学繊維や裏が起毛になっているものは、熱がこもりやすく刺激が強いため、かゆくなりやすい。肌着は、できるだけ綿かシルクを選ぶことをお勧めします」
食事は、アミノ酸の減少を補うため、良質なたんぱく質を多くとることを心掛けたい。
「冬は鍋料理がいいですね。いろんな食材と一緒に水分がとれて、湯気で加湿もできます。お酒は、血行が良くなるとかゆみが出る場合もあるので、ほどほどにしておきましょう」
また、部屋で過ごすときは加湿器を使い、湿度が40%を下回らないようにしたい。
「特に冬の間は、電気毛布やホットカーペットで皮膚が乾燥しがち。寝るときもつけっぱなしにせず、寝る前に布団を温めておいて、就寝中は消すようにしてください」
これらの生活習慣と適切な治療を続ければ、「乾燥によるかゆみは必ず治る」と野村医師は話す。
だが、かゆみの裏側に別の病が潜んでいる場合もあり、油断は禁物だ。
「乾皮症が原因だと思いきや、実際は肝臓や腎臓が悪かったという例もあります。肝硬変や腎不全、がん、悪性リンパ腫なども、かゆみの症状が出ることがある。保湿をしたり薬を塗ったりしてもかゆみが引かない場合は注意が必要です。患部だけでなく、体全体をトータルで見ないと原因を見落としかねないため、安心はできません」
「ただの肌荒れ」と自己判断せず、かゆみが続くときは医師に相談しよう。(ライター・澤田憲)
※週刊朝日 2022年2月18日号