100周年を迎えた「週刊朝日」。創刊2号(1922年3月5日発行)に掲載された、斎藤佳三によるファッションコラムでは、大流行した髪形を例に「島田の遊女が、自分の生気を通わせ、自分の血潮を注いで古い髪形を真似たからこそ流行した」と説く。当時のファッションをファッションデザイナーのドン小西さんがチェックした。
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しかし、驚くよ。100年前の週刊朝日にも、ファッションにズバズバ斬り込む大正版ドン小西みたいな書き手がいてさ。しかもこの人、本業は商業デザイナー。「流行なんて言葉は呉服屋の宣伝文句」とか、「流行は繰り返すが、同じことの繰り返しではない」とか、あたしが今も言ってることをこの時代に叫んでるんだもの。すごい人だよね。
ま、100年前はまだ「モガ」が生まれたばかりの頃で、女性は和服が主流。洋服を着てる女性なんて、わずか1%だったっていう話もあるくらいで。一方庶民は、服、髪形、メイクなど、西洋のものに胸をときめかせまくったんだろうね。日本の伝統と新顔の西洋文化がせめぎあって、まさにファッションが生まれるというタイミングだと思う。
でもさ、大正版ドン小西も島田という髪形を例に言っているように、伝統を今ふうにリニューアルしたからといって、全部が全部新しく見えるわけじゃないんだよ。意気や情熱みたいなものを持った人が進化させないと、人の目にかっこよく映らない。ま、これが個性ってやつかもね。(次号に続く)
(構成/福光恵)
※週刊朝日 2022年2月18日号