ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「不登校ユーチューバー」について。
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スマホのネットニュースを見ていると、連日「学校へ行かない中学生ユーチューバー」の記事がたくさん上がっています。このユーチューバーの少年は、現在13歳(中学1年相当)で、小学校3年生の時に不登校になり、以来「不登校ユーチューバー」として活動しているとのこと。
私のような中年女装が知っているぐらいなので、その存在は全国的にもそれなりに有名なのでしょう。「不登校」というセンシティブ・マターも相まって、メディアなどでも度々、彼の「学校(義務教育)へ行かない」スタンスについての是非が議論されています。個人的に彼の発信するものにあまり興味はありませんが、彼のような子供は、(学校へ行っていようといまいと)いつの時代も一定数いることを考えると、アンチも含めそれなりに需要があるのだと思われます。
「学校教育は個性を殺す」などと言う人がいますが、殺せないほどの個性を持ったら持ったで厄介です。私なんて、自分の癖の強さや枠からはみ出てしまうことが、どんなに面倒臭かったか。普通でいたくて普通に振る舞っているのに、「何か変」な仕上がりにしかならない私を見てきたからでしょうか。私の親は「大人が尊重しなきゃ育たないような個性は個性じゃない」と言っていました。個性なんて裏を返せば「欠陥」です。除しても除しても生えてくる雑草みたいなものです。その欠落にどう自分の中でけりをつけ、周囲とバランスを取り、あわよくば利点や武器に替えていくか。それこそ、私が学校生活を通して学び得た最大のものだったような気がします。