そして、ご質問のように、顎関節症が原因となる頭痛は確かにあります。
正確には、側頭筋という耳の上に位置する筋肉の痛みです。こめかみよりもやや下くらい。これを頭痛と感じることがあるのです。
ズキズキすることもあるので、「片頭痛のようだ」と表現する人もいます。
頭痛に限らず、患者さんは初診時に、「歯ぐきが痛い」「なんとなく、歯が痛む」という漠然とした症状を訴えます。
少なくとも私のクリニックでは、最初から「顎関節症だと思うのですが……」とやってくる患者さんはあまりいません。
いずれにしても、こうした症状があれば、まずは歯科医院に相談をしてみましょう。
顎関節症によって起こっている頭痛であれば、当然、歯科で治療をします(片頭痛など歯科以外の頭痛は内科などに紹介します)。
歯科医院では顎関節症が疑われる患者さんに対して、問診をしたり、画像検査をします。比較的、簡単なチェック法として、触診があります。
咀嚼筋群を押していくと、「痛い!」となるポイントがあるのです。
顎関節症は前述のように、かみ合わせの問題からきていることが多く、治療としては歯を矯正して正しい位置に動かすのが一番効果的です。
ただし、お金と時間がかかります。
そこで、一部の歯を移動させる小矯正、揺れている歯があったら固定する、歯がなくなり、何も入っていない状態があれば、適切な入れ歯を作る、という具合に患者さんが負担にならない方法で、できるだけかみ合わせを整える方法を考えます。
また、歯がすり減っている人は歯ぎしりや食いしばりにより、筋肉疲労から顎関節症が起こっている可能性が大です。そこで、眠っているときに食いしばりを起こさないよう、専用のマウスピースを作って、はめてもらうこともします。
また、顎関節症には生活療法も効果があることがわかっています。
一番いいのは、ふとした拍子にやっている「食いしばり」の癖を減らすことです。