連合の芳野友子会長
連合の芳野友子会長

 そんな後ろめたさがあるから、連合傘下の労組がストをやっても、どうせ国民の支持は得られない。だからやめておこう、という気持ちになるのではないか。

 国民の支持が得られないなら、得られるように努力して欲しいものだが、そんなことは棚に上げて、自分たちの存在感を見せやすい政治の分野に力を注いでいるのが、いまの連合だ。

 共産党批判に異常に熱心で、立憲民主党にも冷たい。弱い者いじめは簡単だ。その一方で、権力者の自民党には露骨に擦り寄り、自分たちが偉くなったと勘違いしている。

 この組織は何のためにあるのだろうか。

 まずは、今年の春闘で最低3%以上の賃上げと最低賃金の10%引き上げ要求を掲げ、ゼネストも辞さないという姿勢で臨むべきだ。そこで成果を得られなければ、会長はクビ。そして、政治に口を出すのも自粛。

 それくらいの覚悟で本来の労働運動に取り組むこと。それが連合に課された今一番大事な役割だ。


週刊朝日  2022年3月4日号より

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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