──近年の日本共産党のソフト路線はリベラル層を中心に注目を集めましたが、7月の参院選では票を伸ばせませんでした。
今の時点では、一定の警戒感が国民の中にあると思うんです。本来リベラルと共産主義は相いれないものでしたが、リベラルの一部が日本共産党の中身をよく分からないで同調しています。また、日本共産党もそれを統一戦線戦術策に使います。ここのところが危ういんです。社会主義革命、共産主義革命の船に乗るんですか、その船に乗ってどこに行こうとしているんですか、ということです。
■ぜひ読み比べて判断を
リベラルが細ってしまったことが一番の問題だと思います。要因の一つは、岸田(文雄)首相が所属する宏池会です。宏池会にはリベラルな要素があります。リベラルは、経済においてはネオリベと非常に近くなっています。
政治におけるリベラルな人と経済におけるリベラルな人というのは本来、だいぶ違っているのです。経済におけるリベラルな人は、どちらかというと既存の体制、新自由主義的な経済政策に伴う小さな政府という考えですから。でも、伝統的なリベラルと社会民主主義的な考え方は自公の枠の中で吸収できるので、今の政権はリベラルとして独自の立ち位置に立つわけです。
日本共産党について言えば、共産党というメニューが政治の世界に出てきたときに、そのメニュー、成分はどういうものなのか、どういう手順で作られているかということを理解した上で、投票するかしないかを決めたらいいと思います。
本の「あとがき」でも書きましたが、党の現在の一番の規範となっている『新・綱領教室』には、私とは違う観点や主張も盛り込まれています。ぜひ読み比べて、良識で判断してほしいと思います。
(構成/編集部・三島恵美子)
※AERA 2022年8月8日号より抜粋