政府の対策の効果を調べるため、導入前後の価格も比べてみた。導入直前(1月24日)のガソリン価格の上位は、順位の入れ替わりこそあれ、顔ぶれはほぼ変わらない。やはり効果は限られていたということだろうか。
もう少し詳しくみるため、導入前後の価格の増減率を計算すると、徳島(0.6%減)と岡山(0.12%減)、福島(0.12%減)の3県しか値下がりしていなかった。増減率が低い都道府県ほど、値上がりを抑えられていたことを意味する。差は少ないながらも増減率にはばらつきがあり、政策効果も地域によって開きがあることを示している。
最も値上がり率が大きかった、つまり政策の効果が一番小さかったと考えられるのは神奈川で、170円には達していないものの導入前後で1.87%値上がりしていた。
ランキング右欄の「店頭価格と卸売価格の差」は、ガソリンスタンドが得る流通マージン(利幅)のこと。卸売価格にはガソリンの運送費や貯蔵費といった元売りコストが含まれ、スタンド側はマージンの中から店員の給料など、経営に必要な費用をやりくりする。
ランキングと照らし合わせると、価格の高い都道府県はおおむねマージンが多い。それだけ利幅を多く確保しなければならない状況に置かれているとみることもできる。
人口減や高齢化、さらに自動車の燃費の向上や電気自動車(EV)の普及といった「脱炭素」、若者の車離れもあいまって、国内のガソリンスタンドは減っている。資源エネルギー庁によれば、昨年3月末時点で約2万9千店と、この30年でほぼ半減した。ここ10年だけでも25%減った。群馬や千葉、東京など関東圏の減少幅は特に大きく、多くで減少率が3割を超す。
群馬や東京は、先のガソリン価格のランキングでも11位と10位。逆風が吹く中、客離れを防ぐためにスタンド側も大幅な値上げは避けたいはずだ。
消費者も、行き慣れたスタンドがなくなると困る。1人あたりの自動車保有台数(貨物車や特殊車両などを含む)の上位は山梨(0.94台)、長野(0.93台)、群馬(0.93台)など。上位の県はクルマ依存度が高い。山梨や長野、群馬は先のランキングでもそれぞれ9位、4位、11位。さらに値上がりすれば、痛手は大きい。