だが、価格上昇の勢いは収まらない。3週目(同10~16日)には補助の上限である5円に達した。ガソリン価格は直近の2月14日時点で171.4円と前週より0.2円上がり、目標の170円に抑えるのは難しい状況に早くも追い込まれている。
今後も値上がりが見込まれるが、補助金は発動4週目にあたる今月17日以降も上限5円のまま。エネルギー事情に詳しい国際大学の橘川武郎教授は「効果は限られる」と指摘する。
「ガソリンの店頭価格は、各スタンドがそれぞれの判断で決める。役所の権限は及ばない。だからこそ政府も、元売り会社に補助するという回りくどく見える仕組みを採用せざるを得なかったのではないでしょうか」
スタンドが決めるので、価格には地域差が生じる。隣同士のスタンドなのに、値段が違うケースもよくある。
都道府県別の平均ガソリン価格は、2月14日時点で1位だった鹿児島の1リットルあたり179.7円と、最下位だった岡山の同165.8円とでは、約14円もの開きがあった。
その理由はさまざまだが、日本エネルギー経済研究所によると、ガソリンスタンドとガソリンを精製する製油所との距離が一因に挙げられるという。製油所から遠いと船やタンクローリーで運んだり、場合によっては何度も積み替えたりして運賃がかさみ、販売価格も高くなる傾向がある。
地域事情や交通の便の良しあしにも左右される。スタンドがひしめく幹線道路沿いでは、より多くの客に立ち寄ってもらうため値下げ競争が起きやすい。対して、交通量の少ない山間部や過疎地では競争は起きにくい。客が少ないため、経営を成り立たせるには一定の利益を確保する必要があり、値下げが難しいケースもある。
上位の鹿児島や長崎、高知、長野は山間地や過疎地もあり、こうした理由に当てはまりそうだ。ただ下位の都道府県にも山間地や過疎地を多く抱えるところはあり、一様に説明できるわけではない。