2020年5月29日、韓国国会内で記者団の質問に答える元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協)の尹美香前理事長
2020年5月29日、韓国国会内で記者団の質問に答える元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協)の尹美香前理事長

 で、裁判である。検察がどのような主張をしているのか。証言台に立つ女性たちは何を語っているのか。その様子が少しずつ明らかになってきている。

 まず、容疑の全てはお金にまつわることである。それも、かなり細かいお金のことである。

 例えば、支援者の一人が速度違反の切符を切られたときに挺対協(現・正義連)が違反金を補填したことがある。ところが別の日に切られた車線変更の違反金は補填していない。それをもって検察は、正義連の会計が場当たり的だったと主張した。それに対し正義連の証人は、こう答えた。

「慰安婦被害者の女性たちに会いに行く時、事前に時間の約束をします。ハルモニたちはその日の日程をあけてずっと待っていらっしゃるので、時間に間に合わせて行くことは非常に重要です。そのため速度違反をしてしまったケースがあるのですが、そういう場合には業務上しかたがなかったことなので罰金を補填してあげるのが原則です。車線変更違反は運転していた個人の過ちなので補填しませんでした」

 はい、もう裁判やめていいでしょ!?と割って入りたくなるようなヤリトリである。仕事中の運転違反金に対しても、場当たりではなく、むしろ基準を設けて厳しく審査していたという事実が明らかになっただけだ。それでも検察は「理解できない!」とごねたという。

 例えば、国の助成金事業で人件費を受け取った女性たちが、受け取った金額をそのまま挺対協に寄付をしたことがある。検察はそれを、国の補助金を二重に挺対協が受け取ったとした。挺対協のトップにいた人が圧力をかけてそうしたのだ、とストーリーをつくったのだ。それに対し、証言台に立った女性は、自分の給与をそのまま寄付した理由をこう話した。

「尹美香理事長が外で講演したら、講演の謝礼をそっくり挺対協へ寄付するのを見ました」

 だから、自分の給与もそのように寄付に回したのです、と。この女性は初期の挺対協のメンバーで、月に150万ウォン(15万円ほど)の低賃金で働いてきた。市民運動家のジョークにならないジョークに、「自分の人権を顧みずに働く」「この市民団体はブラック企業」というのがあるが、まさにそういう状況で、10円20円ですら節約するように働き、臨時の収入は全て寄付するようにしていたのだ。それでも検察は、「寄付をしたら褒められたのか?」などとこの女性を侮辱したという。

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もう亡くなっているのに……