しかし、前出の大阪市内のあるコロナ療養ホテルZの従業員はこう証言する。
「まさに陽性者が手をつけた弁当なので、キチンと処理しなければならないと思っています。ホテルの部屋からでるティッシュペーパーやマスクなどのごみもあり、出るごみの量が半端じゃない。実はうちは弁当、ティッシュなどのゴミを一般ゴミとして出しています。廃棄物処理業者に出す費用は、1キログラムあたり300~400円とされ、一般ごみと比較すると費用がかさみます。コロナで経営環境が厳しいなか、コストカットをしたいというのが、経営側の本音のようです」
厚生労働省の「宿泊療養のための宿泊施設確保業務マニュアル」(21年2月12日版)によると、廃棄物処理の取扱いに関して、宿泊療養施設は医師が医業を行う場所ではないことから、感染性廃棄物としての処理が法的に義務付けられるわけではないという。
ただし、処理に際しては、「当該施設内やその廃棄物の処理を委託される廃棄物処理業者の従業員において感染防止対策が適切に講じられる必要がある」と記されている。
「都道府県の指導の下で宿泊療養ホテルの廃棄物をちゃんと専門業者に頼んで衛生処分するよう指示をしています。ただ大阪はホテルにお任せのようなので心配しています」(官邸関係者)
ある大阪府幹部も「府から指導はしているが、適切に廃棄物を処理していないホテルが複数あるのは事実です」と漏らす。
一方、東京都内では2月の感染拡大のピークが過ぎた頃から、ホテルで宿泊療養する陽性者のために用意された弁当が過剰となり、段ボール箱ごと捨てられることもあったという。
「通常の弁当発注はだいたい前日なのですが、2月中旬頃、療養者数は約100人なのに、200食前後を発注していました。療養者の数が読めなくなり、足りなくなったら困るという理由のようです」(療養宿泊ホテル関係者)
東京都では1月16日より小池百合子知事の肝いりでJR東日本、JALなどの協力を得て週に1回程度、名物駅弁、料亭などの特別弁当を療養者に提供している。都の通常の弁当代は1食1100円だが、特別弁当は1500円前後と豪華な内容だ。
都によると、駅弁などの特別弁当になると注文は3日ほど前になり、ホテルに入る療養者の人数が読めず、どうしても過剰に発注するケースが多くなったという。