画面越しの上司の「最近どう?」も、「適当な声かけされた」と疎外感に結びついてしまう(撮影/写真部・高野楓菜)
画面越しの上司の「最近どう?」も、「適当な声かけされた」と疎外感に結びついてしまう(撮影/写真部・高野楓菜)
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 新型コロナウイルスの感染拡大が長引く中、深刻化する孤独・孤立の問題。貧困や虐待、DVなどの問題を抱える若い女性たちにとっても切実な問題だ。保護された後の支援も課題になっている。AERA 2022年3月7日号から。

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 若い世代の、切実な孤独。中でもコロナ禍の20年は女性の自殺者が前年比で約15%増えた。貧困や虐待、DVなどの悩みを抱えた若い女性たちを支援する「若草プロジェクト」代表理事の大谷恭子さんは、「ステイホーム」で、すでに崖っぷちにいた人たちがどんどん突き落とされている状況だと話す。

「まさにホームが地獄だったのに、ステイせよと。でも家からは出ざるを得ない。唯一のライフガードだった飲食店でのアルバイトの術は途絶えて食い扶持もなく、孤立を深めています」

 中でも難しいのが、たとえば虐待にあった女性をシェルターなどに一時的に保護した後の、「退所後支援」だという。

「シェルターに1年ほどいた後に、やっとアパートで自立を始めたとする。でも、生身の体を襲う目の前のリアルな孤独に向き合うのはそこからなんです。地域社会に受け皿としての人間関係が不足しているので、その孤独を彼女たちが凌(しの)いでいけるかというと、すごく厳しい」

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