AERA 2022年3月14日号より
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 新型コロナウイルスに感染歴のある人のワクチン接種について、厚生労働省は「可能」とするだけで積極的に勧めているわけではない。しかし、国外の報告からは、接種した方がいい理由がうかがえる。AERA2022年3月14日号の記事から。

【一覧表】子どもを対象にしたワクチン接種…海外での対応は?

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 国内の新型コロナウイルス感染者は累計500万人を超えた。感染すると、体内に新型コロナウイルスに対する抗体ができる。それでも、ワクチンを接種した方がいいのだろうか。

 厚生労働省のサイト「新型コロナワクチンQ&A」では、「新型コロナウイルスに感染したことのある人は、ワクチンを接種することはできますか」という問いに対し、「感染した方もワクチンを接種することができます」との回答が掲載されている。その後に、国外の推奨状況などが記載されているが、厚労省が感染後の接種を推奨するとは書かれていない。

 一方、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルスに関するQ&Aのサイトには、「すでに感染歴があってもワクチンを接種するべきでしょうか」という問いに対し、「するべきです」と書かれている。米疾病対策センター(CDC)も、「感染の有無に関係なく、5歳以上のすべての人にワクチンの接種が推奨されます」としている。

■感染後の免疫落ちる

 WHOは、感染後でもワクチン接種を推奨する理由として、感染によってできる免疫は個人差が大きいものの、感染後にワクチンを接種することで、一貫して強い免疫を得ることができる点を挙げている。

 米CDCが2021年8月に発表した報告によると、米ケンタッキー州の住民約740人を調べたところ、ワクチン接種を受けていない人が感染後に再感染するリスクは、ワクチン接種を完了している人の2.3倍高かった。

 本大学医学部血液・膠原病・感染症内科の松岡雅雄教授(ウイルス学)も、感染後のワクチン接種を推奨する。

「新型コロナウイルスの場合、ワクチンの効果が半年ほどで減衰してくるのと同じように、感染してできた免疫も、時間が経つと弱くなってきます。ですから、ワクチン接種によって、免疫を強化した方がいいと考えられます」

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