<宇宙のすべてを説明するアインシュタイン方程式>この式の左辺は時空の幾何学(時間と空間の曲がり方)を表す物理量で、右辺はその中に存在する物質分布を表している。つまりこの式は、時空=物質という考え方を数式で表現したものになっている
<宇宙のすべてを説明するアインシュタイン方程式>
この式の左辺は時空の幾何学(時間と空間の曲がり方)を表す物理量で、右辺はその中に存在する物質分布を表している。つまりこの式は、
時空=物質
という考え方を数式で表現したものになっている

 それを集約した基礎方程式であるアインシュタイン方程式だけをとりあえずお見せしておきます(画像)。

 ここではアインシュタイン方程式そのものの意味を説明するつもりはありませんので、ご安心ください。この一見難しげな式をお見せしたのは、ワクチンのように数式に対する免疫を獲得してもらうのが目的です。理解してほしいのは、この世界の振る舞いを支配するルールが存在し、それが(難解に見えようと)簡潔な数式で書き下すことができるという事実です。
 
私に限らず多くの物理学者は、この式が物理学におけるもっとも美しい式の一つだと思っています。それを発見したアインシュタインの偉大さは言うまでもありません。さらに言えば、そのような「法則」が存在しているはずだと見抜いた洞察力、その上それを具体的な数式で書き下そうと考えたことに言いようもない感動を覚えます。アインシュタインが一般相対論を「創った」のではなく、あえて「発見した」と表現したのはそのためです。

 この世界のどこかに確実に刻まれている法則を、たまたま最初に「発見」したのがアインシュタインであったに過ぎません。もしも彼がいなかったとしても、やがて必ずや誰か別の人が発見したはずです。

 もちろん、「質量を持つ物体は周りの時空を歪める」という主張が究極の法則である保証はありません。というより、むしろその先に、未だ人類が発見できていない、より根源的な法則が控えていることは確実です。そして、このように少しずつ法則を深化させる過程こそが科学です。

■素朴な疑問に答える「数式で宇宙が記述できる」ってどういうこと?

 ここでちょっとしたQ&Aを紹介します。

【Q】アインシュタインの式の美しさが全くよくわかりません。また、式一つで「宇宙のすべて」が記述できるというのはどういうことですか?

【A】実はアインシュタイン方程式は全部で10個ある式をまとめて表現したもので、それぞれが単純さと秩序を持つ数多くの項から成り立っています。それを理解すると「美しい」という気持ちが自然に芽生えてくるのです。

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アインシュタイン方程式が記述したもの