兼近大樹 [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/高丸瑞加、富樫真綾(Ari・gate)、スタイリング/矢羽々さゆり]
兼近大樹 [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/高丸瑞加、富樫真綾(Ari・gate)、スタイリング/矢羽々さゆり]
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 昨年10月、自身初の小説『むき出し』を出版したお笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹さん。デビュー作の執筆に際には、全部ケータイで打ち込み、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんに相談したといいます。作家・林真理子さんとの対談で執筆秘話を明かしました。

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林:おー、やっぱりカッコいいですね。吉本の「男前ランキング1位」だけあって。

兼近:アハハハ、芸人の中では、ですから。

林:髪、そんなに赤かった?

兼近:ちょっと派手にして、気合入れてきました(笑)。

林:兼近さんのデビュー作の『むき出し』、とてもおもしろかったです。

兼近:あっ、そうですか。ありがとうございます!

林:どうして文藝春秋から出版したんですか。「出しませんか」って言われた?

兼近:いや、僕のほうからお願いしたんです。

林:えっ、ほんとに? 宝島社とか、そういうところじゃなく?

兼近:はい。やっぱりカッコいいっていうのがありますよね。憧れがちょっとありました。僕、芸人でタレントじゃないですか。でも、書いた小説をタレント本みたいに思われたくなくって。

林:それがイヤだったから文藝春秋にしたんだ。

兼近:そうなんですよ。でも、文学的要素が強い文藝春秋から出したらすごいってことを、若い人は知らない人が多くて、「芸能人をスッパ抜く週刊誌を出してるところからなんで出すの?」という声が大多数でしたね(笑)。

林:話を持ち込んだとき、すぐ乗ってくれたんですか。

兼近:又吉(直樹)さんに相談して、紹介していただきました。

林:なるほどね。書くのにどのぐらいかかったんですか。

兼近:書き始めて2年ぐらいですね。どういう内容を書きたいか、みたいなことは、20歳ぐらいのときから考えてましたけど。

林:執筆はもちろんパソコン?

兼近:僕、ケータイなんですよ。

林:えっ、ケータイで?

兼近:ケータイの「メモ帳」に横書きで打って。僕、文字がほぼ書けないんですよ。ローマ字もまだ書けないし、漢字なんて小学校1、2年生どまりで、文字で書くとなると、全部ひらがなになっちゃうんです。本は少し読むので、読むことはある程度できるんですけど、書く力は皆無で。

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