だが、近年の選考を振り返ると、上位進出校がすんなりと選ばれるケースがほとんど。例外を挙げるとすれば、四国大会8強の高知が、同4強の高松商を上回って四国の4校目(この年は記念大会で四国に3枠、さらに前年の明治神宮大会で明徳義塾が優勝し、1枠追加されていた)に選出されたケースぐらいか。

 こういった順当な選考が慣習化してきたことにより、高校野球ファン、さらに言えば吉報を待つ現場の選手、指導者たちすらも「秋の大会で当確ラインを越えていれば、選ばれないはずがない」という雰囲気が醸成されていったのは間違いないだろう。

 そういったサプライズへの“耐性”が薄れていた中で、今回の強烈な逆転選出を目の当たりにしたことから、多くの拒否反応が出てしまったのではなかろうか。

 また、選考理由を発表する際、東海地区の選考委員長である鬼嶋一司氏は「(静岡から2校出場になるという地域性は)考慮していない」と明言。その一方で、中四国地区の選考委員は、中国3校目の倉敷工と四国3校目の明徳義塾を比較する際に、四国1校目として明徳義塾と同県の高知が出場する地域性を加味して、と説明した。

 センバツは各地区に小委員会を設置し、そこで議論を交わして選出校を決定する形式だが、前出の2地区のように小委員会毎に方針に差異が出るのが常だ。

 人が選ぶ以上、どうしても差が生じるのは致し方ないことだが、「昨年は地域性を重視するが、今年は純粋な実力への評価にウエイトを置く」といったような選出の軸は、各地区委員会で共有されるべきだと感じる。

 まとめると、

・各都道府県の優勝校が集う夏の選手権大会と異なり、センバツは予選をもたない「招待大会」。この特色から発展してきた歴史があるだけに、大会成績に固執しない柔軟な選出は発生しても何らおかしくはない。

・とはいえ、同一大会において各地区の選出方針が揃っていないのは不適切。一本の軸を立てた上で、一定の方向性を保っていくことは不可欠。

 優勝という戦績が不可欠な夏の選手権に対して、試合内容などの“過程”が問われるセンバツ。それぞれ違った色を生かすためにも、落としどころを見つけてほしい。

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センバツ以外で「変えて欲しい」ところは?