今回騒動となったセンバツ選考以外にも、今一度足下を確認してほしい事柄に「プロ・アマ規定」がある。

 日本学生野球憲章第12条で定められている「プロ野球選手、プロ野球関係者、元プロ野球選手および元プロ野球関係者は、学生野球資格を持たない」という規定の通称で、かつてはプロ野球の現役選手、元プロ野球選手が、高校球児を指導することが一切不可能だった。

 そこから現代に至るまでに、少しずつ冷え切っていたプロ・アマ間の雪解けが進んでいる。

 1984年に教員としての10年間の勤務を条件に、元プロ野球選手の高校野球指導が解禁。94年には必要な勤務期間が5年に、97年には2年に短縮された。

 そして2013年に教員としての勤務歴を求める条件が完全撤廃。プロ、アマサイドがそれぞれ開催する研修会に参加し、適正検査を受けることで指導資格の復帰が可能となった。

 神出鬼没な高校生指導が度々話題になるイチロー氏の指導が可能となっているのも、2013年の資格復帰対象の大幅緩和が背景になる。

 このように、プロ野球OBの高校生指導は、以前と比べ物にならないほど、ハードルが下がっている。「名選手=良い指導者」とならないのが難しいところではあるが、参入障壁が少なくなっているのが、野球界の活性化にとっても大きな意味があるだろう。

 しかし、こと現役選手の高校生指導に関しては、再考の余地が多分にあると思えてならない。

 2005年、現役プロ野球選手が、シーズンオフに母校のグラウンドなどでの練習が可能となった。だが、「ノックをするなどの指導はできない」と明文化されている。後輩たちへの自己紹介や激励はOKだが、技術的な指導を伴う会話はしてはならないと線引きされている。

 つまり、プロで活躍する憧れのOBにスイングや投球フォームを見てもらう、といったことは未だ許されていないのだ。

 日本プロ野球選手会が実施する「プロ野球現役選手によるシンポジウム『夢の向こうに』」といった事前申請が伴う講習会などでは、例外的に指導が許されているものの、基本的に限られた地方での開催で、多くの高校球児たちは現役時代にこういった場に巡り合えない。

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選手の安全を守るルールには柔軟性も必要?