女性の月経前につらい症状がみられる「月経前症候群(PMS)」は、適切な治療で改善できる。この病気や自身の症状を知ること、治療法について正しく理解することが、月経と上手につきあい、穏やかな毎日を送る第一歩になる。
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月経前症候群(PMS)は、月経前に以下のような症状が表れる病気で、一般的によくある不調も含んでいる。
東京歯科大学市川総合病院産婦人科准教授の小川真里子医師はこう話す。
「月経前にみられ、月経が始まると治まることをくり返すのであれば、基本的にどのような症状でもPMSと診断することが多いです」
月経周期に応じて、女性ホルモンは増えたり減ったりしている。PMSは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が盛んなときに症状が表れる。
そのため、厳密には月経2周期(約2カ月分)ほど、患者が毎日の症状を記録した上で診断する。しかし実際は、すぐにでも治療を求めるほどつらい患者が多く、京都大学病院産科婦人科助教の江川美保医師は「これまでの経緯や困っている症状を聞き、暫定的に診断して治療を始めることが多い」という。ただしその場合も、症状の記録を続けることは大切だ。
「自分の症状を知り、からだの変化を意識することは治療の一環にもなります。また、『この時期にこうなる』とわかることで行動や予定を調整しやすくなるので、仕事や人間関係への影響を回避できます」(小川医師)
診断時には、ほかの病気でないことを確認するために、血液検査でホルモンの状態や貧血の有無、甲状腺の機能、血糖値などを調べることも。うつ病など、精神科の病気との鑑別も重要だ。